2025年読書記録11冊目(3月-2冊目)。
書籍紹介
基本情報
あらすじ

されては、いけない。けれど絶対、あなたも騙される。
『向日葵の咲かない夏』の原点に回帰しつつ、驚愕度・完成度を大幅更新する衝撃のミステリー!
第1章「弓投げの崖を見てはいけない」
自殺の名所付近のトンネルで起きた交通事故が、殺人の連鎖を招く。
第2章「その話を聞かせてはいけない」
友達のいない少年が目撃した殺人現場は本物か? 偽物か?
第3章「絵の謎に気づいてはいけない」
宗教団体の幹部女性が死体で発見された。先輩刑事は後輩を導き捜査を進めるが。
終 章『街の平和を信じてはいけない』
?????????????????????????????どの章にも、最後の1ページを捲ると物語ががらりと変貌するトリックが……!
ラストページの後に再読すると物語に隠された〝本当の真相〟が浮かび上がる超絶技巧。
さらに終章「街の平和を信じてはいけない」を読み終えると、これまでの物語すべてがが絡み合い、さらなる〝真実〟に辿り着く大仕掛けが待ち受ける。「ここ分かった!?」と読み終えたら感想戦したくなること必至の、体験型ミステリー小説。 /文藝春秋
http://michioshusuke.com/custom107.html
読書記録
関連記録
メモ
白沢市と蝦蟇倉市という架空の町を舞台とした4章構成となっており、すべての章の時系列が繋がっている。
それぞれの章がそれ単独でもひとつの物語としてまとまったものとなっているが、それらが終章で綺麗に結びついていく構成はさすがである。
前述のあらすじには「最後の1ページを捲ると物語ががらりと変貌するトリック」と書かれているが、「物語ががらりと変貌する」というよりは「ぼんやりと見えていた真相がクリアになる」という表現が適切な気がする。
ただ、確かに終章のラスト1ページには、自分の中で思い描いていたエピローグが一変させられた。
ともかくも、各章の最後のページが大きな意味を持っていることは間違いない。
なぜミステリを読むのか、その理由には「映像作品では体験できない叙述トリックを味わいたいから」ということも私個人としては大きいと考えている。
本作はまさに、上質なギミックでその欲求を満たしてくれる作品だった。
一度だけでなく、繰り返し読みたくなるという感想も納得である。
以下、ネタバレありで、各章ラスト1ページが持つ意味について記録しておく。
これ以降には本作のネタバレを含みます。
未読の方は読まないことをオススメします。
第1章
ラスト1ページに描かれているもの:ゆかり荘の位置が書き込まれた地図
それが意味するもの:宮下と吉住が乗った車が轢いたのは隈島である。
ラストシーンで、家を出た邦夫が車に轢かれたかのように錯覚させられるが、もし邦夫が轢かれたのだとすれば、2人が乗った車の「右側」から邦夫が出てくることはあり得ないことが最後の地図からわかる。
また、森野雅也は商店街の南端まで行ってからアパートに向かうことが示唆されており、その場合も同じく「右側」から雅也が出てくることはあり得ないことがわかる。
第2章
ラスト1ページに描かれているもの:テレビのインタビューを受けるおばあさんとその甥、そしてその2人の軽ワゴン車に乗り込もうとしている山内
それが意味するもの:山内は、珂が拉致された軽ワゴン車に潜んでいた。
ラストシーンで珂の前に現れた山内は、珂を殺そうとしていたおばあさんとその甥を弓投げの崖から突き落とした。
第3章
ラスト1ページに描かれているもの:中川の手帳に描かれた事件の真相の鍵となる絵を描き換えようとしている竹梨の右手(使っているペンは隈島からもらったモンブラン)
それが意味するもの:竹梨は十王還命会の信者だった。そのため、宮下を殺したのが守谷であるという可能性を示す絵を描き換えた。
第4章
ラスト1ページに描かれているもの:竹梨が邦夫から受け取った白紙の便箋
それが意味するもの:弓子は、邦夫の告白を記録した便箋を封筒に入れる代わりに、何も書かれていない白紙の便箋を封筒に入れた。それを受け取った竹梨が事件の真相を知ることはできない。そして、竹梨の告白が記録された便箋は邦夫が誤って持ち去り、その後、海風に飛ばされた。
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