2025年読書記録6冊目(1月-6冊目)。
書籍紹介
基本情報

あらすじ
彼/彼女らの人生は重なり、つながる。
隠された“因果律(めぐりあわせ)”の鍵を握るのは、一体誰なのか──遺影専門の写真館「鏡影館」がある街を舞台にした、朝日新聞連載の「口笛鳥」を含む長編小説。読み進めるごとに出来事の〈意味〉が反転しながらつながっていき、数十年の歳月が流れていく──。道尾秀介にしか描けない世界観の傑作ミステリー。/朝日新聞出版
ささいな嘘が、女子高校生と若き漁師の運命を変える――心中花
まめ&でっかち、小学5年生の2人が遭遇した“事件”――口笛鳥
自らの死を前に、彼女は許されざる“罪”を打ち明ける――無常風
各章の登場人物たちが運命にいざなわれて一同に集う――待宵月
http://michioshusuke.com/custom96.html
読書記録
関連記録
メモ
『向日葵の咲かない夏』、『フォトミステリー』に続く、今月読んだ道尾秀介氏の著作はこれで3冊目となる。
これも市内の図書館で借りてきたものだ。
この作品を選んだ理由は単純で、道尾秀介氏の公式サイト内にある「あなたへのオススメ作品検索」をやってみた結果、これが選ばれたからだ。
全4章から成る本作は、中編3章と短いエピローグ1章で構成されている。
物語の舞台となるのはひとつの街。
その街が時を超えて、異なる主人公たちの視点を通じて、多面的に描き出されていく。
それぞれの章で語られる無関係に思えた出来事が、物語終盤にかけてひとつひとつ結びついていき、そして現在に繋がっていくのである。
本作は、殺人事件が起きて探偵が推理でその犯人を見つける、というようなミステリではない。
しかし、散りばめられたピースがひとつの形に収束していく過程は、まさにミステリならではの快感を味わわせてくれた。
初めから綿密に構成設計を練られた上で書かれた作品かと思いきや、驚くべきことに、もともとは長編にする想定すらなかったという。
最初に書き上げられたのが、新聞紙上で連載されていた第2章の「口笛鳥」で、その後に第1章、そこから第3章が書かれたらしい。
このあたりのエピソードは以下リンクに詳しい。

バタフライエフェクト。
風が吹けば桶屋が儲かる。
ある行動や出来事が、巡り巡って後に大きな影響を与えることがある。
『風神の手』というタイトルの真意に辿り着いたのは、物語の最終盤だった。
言ってしまえば、今この瞬間だって、いくつもの過去の偶然が積み重なってできたものだ。
そのことを改めて認識させられる作品だった。
さて、今年から始めたこの「読書記録」は、どのような未来へと繋がっていくのだろう。
過去を綴るというこの行為が、これからの未来を編み上げていく一端となるかもしれないと考えると、何とも不思議な気持ちである。
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