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【読書記録】江戸川乱歩全集 第5巻 押絵と旅する男

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2025年読書記録16冊目(4月-1冊目)。

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書籍紹介

基本情報

著:江戸川 乱歩
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タイトル:江戸川乱歩全集 第5巻 押絵と旅する男
著者:江戸川乱歩
出版社:株式会社光文社(光文社文庫)
形式:文庫本

あらすじ

江戸川乱歩の作品をその発表順に収録した全集の第5巻。
収録されている作品は下記のとおり。

  • 押絵と旅する男
  • 蜘蛛男
  • 盲獣

読書記録

関連記録

読了日:2025年4月7日(月)
入手元:図書館からの貸出

メモ

表題作でもある『押絵と旅する男』は短編、『蟲』は中編、『蜘蛛男』と『盲獣』は長編となっている。

『押絵と旅する男』は、ある男が体験した夢か現実かもわからない不思議な出来事を思い出しながらひとり語りする、という体をとった幻想小説となっている。
昨年11月に実家の近くの図書館で借りた短編集に収録されていたものを読んだときの印象が強く残っている。
事件が起きるわけでもなく、読者を驚かすような仕掛けがあるわけでもないのだが、その不思議な世界に引き込まれてしまう作品である。

『蟲』は、ある女性を愛した男が起こした犯罪と死体の扱いに対する異常性が描かれた作品となっている。
タイトルになっている「蟲」というのは、人間の死体を蝕む微生物を指しており、犯罪を起こした後の男と死体の腐敗を巡る描写にこそ、この作品の主題はある。
しかし、そこに至るまでの前置きが長く、バランスが悪い印象だった。
また、死体が腐敗していく様、そしてそれを防ごうとして男がとった行動が描かれる終盤は、読み進めることをためらってしまうほど刺激の強いグロテスクさだった。

最も印象的だった作品は『蜘蛛男』。
本書の半分以上を占める300ページ超というボリュームだったことも印象に残った要因のひとつではあるが、それだけではなく、探偵小説としての謎解き要素もあり、名探偵と殺人犯との手に汗握る攻防もあり、とエンターテインメントとして非常に楽しめる作品だった。

気になったところがないわけではない。
終盤に描かれる「事件が解決する目前のところで、ある女性がなぜか犯人に同情し、その結果、自分の命を落とす(そして犯人も逃げおおせる)」場面は、読んでいても頭の中に疑問符が浮かび、納得がいかなかった。
あまりに唐突な展開には、「いったいなぜ?」という疑念が拭えず、物語の展開上、その人物を退場させる必要があったとしても、他にやりようはあったのではないかと思ってしまった。

ただ、それを差し引いても、これまでに読んだ乱歩の長編作品の中では個人的にいちばん面白かったと思える作品だった。

最後に収録されている『盲獣』は、ひどく気持ちの悪い作品だった。『蟲』も気持ち悪かったが、それ以上だろう。
この作品には、事件の真実を暴く探偵は登場しない。自身の欲望のために女性をさらい、残虐な犯行を繰り返す盲獣の姿が描かれるだけだ。
主人公であり、極悪非道な犯罪者である盲獣には、なにひとつ共感できる要素がなく、ただただ胸焼けを覚えるような気持ち悪さを感じるだけだった。

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