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【読書記録】江戸川乱歩全集 第3巻 陰獣

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2025年読書記録10冊目(3月-1冊目)。

Table of Contents

書籍紹介

基本情報

タイトル:江戸川乱歩全集 第3巻 陰獣
著者:江戸川乱歩
出版社:株式会社光文社(光文社文庫)
形式:文庫本

あらすじ

江戸川乱歩の作品をその発表順に収録した全集の第3巻。
収録されている作品は下記のとおり。

  • 踊る一寸法師
  • 毒草
  • 覆面の舞踏者
  • 灰神楽
  • 火星の運河
  • 五階の窓
  • モノグラム
  • お勢登場
  • 人でなしの恋
  • 鏡地獄
  • 木馬は廻る
  • 空中紳士
  • 陰獣
  • 芋虫

読書記録

関連記録

読了日:2025年3月3日(月)
入手元:図書館からの貸出

メモ

本書は大きく分けて以下の3つのパートで構成されている。

1.短編集〜『踊る一寸法師』から『木馬は廻る』
2.長編〜『空中紳士』
3.中編〜『陰獣』および『芋虫』

前半は探偵小説や幻想小説が織り交ぜられたバラエティ豊かな短編集のような装いとなっており、どれも面白く小気味よく読み進めることができた。

しかし、その後の長編『空中紳士』(約300ページ)にはあまり没入できず、途中で読むのが苦痛に感じられてしまった。
終盤のどんでん返しには驚かされたものの、やや無理のあるご都合主義的な展開や、あまりにも現実離れした人物の登場により、興が冷めてしまったところがある。
本作は乱歩を含む作家5人の合作ということで、もしかすると乱歩以外の作家が執筆したパートが好みに合わないのかとも思ったが、執筆自体は乱歩の手によって行われたものであるらしいから、そういうわけでもないらしい。

表題作でもある『陰獣』には惹き込まれた。
100ページほどのそれほど長くない作品ながら、この先どんな展開を見せるのだろうと気になって、ページをめくり続けた。
筋の通った推理により事件の真相が明らかになったかと思いきや、あるひとつの証言をきっかけに事件がまったく別の顔を持っていることが明らかになっていく終盤の展開は、ミステリ好きにはたまらない。
それゆえに、個人的には最後の12章は蛇足だったと感じる。
内容としては11章までで十分だったし、実際読んでいても11章が終わったタイミングで物語が完結しているものだと思い、「いい作品だった」と余韻に浸ろうとしていたところ、さらに続きがあることに戸惑ってしまった。
また、その12章が11章のラストの余韻を打ち消してしまっていたため、余計に蛇足感を強めていると感じた。

本書のラストを飾る『芋虫』も衝撃的な作品で、今後もきっと忘れ得ぬ作品になるであろう。
乱歩の作品を読んでいて、目を覆いたくなる感覚を抱いたのは初めてかもしれない。

第3巻はなかなかボリュームのある内容だった。
しかし、これでもまだ全30巻ある全集の一割を読んだに過ぎない。
次の第4巻ではどんな世界が待っているのか、楽しみである。

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