2025年読書記録1冊目(1月-1冊目)。
書籍紹介
基本情報
あらすじ
作家・湊かなえによって編まれた江戸川乱歩の短編集。
収録されている作品は下記のとおり。
- 湖畔亭事件
- 何者
- 石榴
- 心理試験
- 赤い部屋
- 人間椅子
- 木馬は廻る
- 迷路の魅力(随筆)
- 兇器としての氷(随筆)
- プロバビリティーの犯罪(随筆)
読書記録
関連記録
メモ
私は、小学校低学年のころ、ポプラ社から刊行されていた少年探偵団シリーズを読みふけっていた。
きっかけは確か、兄が学校から借りてきていた本を読んだことだったと思う。
兄から勧められたから読んだのか、自分で気になったから読んだのかまではよく覚えていない。
ただ、とにかく夢中になって読んでいた。
そうして乱歩の小説を読みふけった私は、低学年にして小学校で学ぶレベルの漢字をすっかり覚えてしまった。
また、小説そのものの面白さもさることながら、おどろおどろしさを感じさせる表紙絵も魅力的だった。
つまり、私にとって「江戸川乱歩」というのは読書の原体験なのである。
乱歩との出会いによって読書の楽しさを知り、さらには、そこから探偵小説や推理小説に夢中になっていったのだ。
先日、実家に帰省した際に、地元の図書館に行く機会があった。
そのときにふとその当時のことを思い出して、図書館に唯一置かれていた乱歩の短編集を借りたことで、私の中の乱歩熱が再燃したのだ。
実家にいる間にその短編集を読み終えると、自宅に帰ってきてからも市内の図書館に赴き、乱歩の短編集を借りた。
今回記録につけている『江戸川乱歩傑作選 鏡』は、そうして借りて読んだ3冊目の短編集になる。
やはり、乱歩は面白い。
半世紀以上前に書かれた作品にも関わらず、どれもまったく色あせることがない。
推理小説としてトリックやどんでん返しに驚かされるだけでなく、読んでいくうちに現実世界から身体が離れていくような、そんな幻想性を持っていることもまた乱歩作品の魅力だ。
本書に収録されている作品の中だと、『赤い部屋』が特に好みである。
短い中に惜しげもなく散りばめられたいくつものトリック、作品全体に流れる異様な怪しさ、そしてクライマックスに待ち受ける衝撃、その後に訪れる静寂、それらが『赤い部屋』という無二の世界を形作っている。
30ページくらいでサクッと読めるボリュームなので、乱歩作品を読んだことがない人にもぜひ一度読んでみてほしい。
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